2012年12月16日日曜日

さよならDavid Tait、どうぞ安らかに。

ラグビーを見始めて4年目の今年は、「ピッチで躍動する姿を目の前で見た選手の突然の訃報を耳にする。」という経験を二度もすることになりました。

一度目は、6月初に英吉利で見た愛蘭代表対Baa-Baasに出場した愛蘭代表のNevin Spenceが9月に事故で亡くなったニュース。そして二度目は、今週に起きました。


 (2012/12/13 ラグビー共和国)


数日前に報道されたこのニュースを目にした時、ピンときました。

10月の約2週間の香港出張の際、友人に誘われて週末に観戦した試合に出場していた選手だったからです。厳密にいえば、私の友人数人が所属するクラブチームのキャプテンだったのがDavid Tait。

香港には、約20のクラブチームが存在し、個々のクラブには「一軍」「二軍」「OBチーム」「女子チーム」等、複数のチームがあり、それぞれのレベルのリーグ戦が存在するのだそうです。登録している選手の合計は、恐らく1,000人を超えるのではないか、とのこと。

香港のクラブチームのリーグ戦で最もレベルが高いのが「Premiership」、その次が「Premiership A」と呼ばれており、それぞれ8チームで優勝が争われます。

David Taitが所属するクラブは、昨年は、一軍チームがPremiershipで、二軍チームがPremiership Aで優勝した強豪チーム「Kowloon RFC」。

10月13日(土)にHKFCを試合会場として行われた試合は、OBチームの試合に始まり、Permiership A、そして最後がPremiershipの Newedge Club v Kowloon でした。


向かって左側、エンジと白のジャージーがKowloon。

私の友人達は、二、三年前までこの一軍チームでプレーしていたそうですが、現在はOBチームで週末のリーグ戦に出場しています。ちなみに、一軍チームや二軍チームは週に何度かチームトレーニングを行いますが、OBチームは練習無し、いわゆる「草野球」ならぬ「草ラグビー」だそうです。それでも、OBチームにも一部、二部、三部と異なるレベルのリーグが存在するのだそう。

香港代表に召集される選手がプレーするのは、もちろん「Premiership」。ただし、英蘭の「Premiership」とは全く異なり、選手はみなアマチュアで、会社員だったり、学校の先生だったり、ジムのトレーナーだったり、と職業は様々。

香港で生まれ育ったという選手は少数派。英吉利や濠太剌利、新西蘭、南阿弗利加等のラグビー強豪国出身の選手が大半を占めており、仕事の都合で香港に来ているケースが多いようです。

それでも、ジュニアレベルで国代表に選ばれた経験があるとか、Super Rugbyや英蘭のPremiership等のプロリーグのチームに所属していたとか、華やかなキャリアの持ち主が香港のクラブチームでプレーしていることは珍しくないそうです。




この日、午後6時に始まった Newedge Club v Kowloonの一戦。私は、Kowloonのチーム関係者が多く座るゾーンで、友人と共に観戦していました。その友人が、「あれが今の一軍チームのキャプテンなんだよ。蘇格蘭のセブンズ代表だったし、Sale Sharksでプレーしていたこともあるスゴイ選手なんだ!」と、誇らしげに指をさした先にいたのがDavid Taitでした。


試合当日、携帯電話からアップしたブログにも「元蘇格蘭セブンズ代表が」との一文がありますが、それはDavid Taitを指してのことでした。

メインのポジションはNo8ですが、セカンド・バックローの5つのポジションをこなせる器用な選手だったそう。この日のポジションと背番号は覚えていませんが、下の写真で一番左側に写っているのがDavid Taitだと思います。


この試合、残念ながらKowloonは 42-19で敗れました。



このところ、鬱状態だったという友人の談話もあるようですが、David Taitが自ら死を選択した理由は分からないまま。遺書も見つかっていません。また、9年前にお父さんがやはり自ら命を断ったということも、これまでチームメイトにはほとんど知られていなかったようです。

(2012/12/14 Kowloon RFC)


心よりご冥福をお祈りしたいと思います。



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