この先、おそらく長きに渡り語り継がれることになるであろう、日本代表がSpringboksこと南アフリカ代表から上げた歴史的大金星。
アタシは、日本人のお友達とスタジアムでこの試合を観戦しましたが、一番強く印象に残ったのは、試合の内容そのものよりもこの試合を見守った2万9千人のファンの観戦マナーのことです。あの会場全体の一体感は、故意に作ろうと思って作れるものではないはずです。もちろんそれは、試合の内容が素晴らしかったからという大前提があってこそなのですが、目の肥えたラグビーファンのマナーの素晴らしさに改めて感動した一日でもありました。
日本代表とSpringboks、どちらかのチームのジャージーに身を包んだファンの数を数えたら、緑色のジャージーの方が明らかに多かったです。それ以外にイングランドのジャージーを着ている観客も多く、実は「ワールドカップの試合が見たかったから」という理由でスタジアムに足を運んだ中立的な立場の地元のラグビーファンが一番多かったのではないかと思います。
イングランドと南アフリカは共にティア1でワールドカップの優勝経験もあり、ほぼ毎年のようにテストマッチで対戦、お互いにライバルとして認め合う国同士。方や日本はティア2、これらの代表チームとテストマッチが組まれることは稀。ひねくれた見方かもしれませんが、試合の前半、日本代表のプレーに対して沸き起こる拍手や歓声は、日本代表のサポーターに加え「ライバルで南半球の南アフリカはキライだから、対戦相手の日本を応援する」とか「ラグビーで特にどちらかのチームのサポーターで無い場合は、弱いチームを応援するのがマナー」といった理由で日本を応援してくれている地元のファンによるものだとアタシは思っていました。
しかし、試合の経過とともに、会場にいる観客一人ひとりが両チームのプレーに魅入られ、「ラグビー」というスポーツの醍醐味そのものに陶酔していくのが肌で感じられました。誰ひとりとして選手やレフリーに罵声を浴びせることもなく、また必要以上に対戦相手のミスを喜ぶような行為も皆無。そして誰かが音頭を取るわけでもないのに、何度も何度も繰り返し会場を包み込んだ「ジャパン」コールはまさに鳥肌モノ。
アタシ達の後ろには、Springboksのジャージーを着た小学生くらいのお嬢さんとお父さんの親子が座っていたのですが、そのお父さん、試合中に何度も「日本代表の15番はいいねぇ。」とアタシ達に声をかけてくれました。ホテルに戻ってから自分で撮影した写真を見てみたら、日本代表のトライに両手をあげて歓喜の表情すら見せているSpringboksサポーターの姿も映っていました。
試合終了後、興奮のあまりピッチに駆け下りてしまいガードマンのお世話になった不届き者が何人もいたのは残念でしたが、それはむしろ、それだけ試合が素晴らしかった証かと思います。敗戦のショックでモノを投げ入れたり、周囲に暴力的な態度をとるようなファンはいませんでした。それどころか「おめでとう」とか「日本代表は素晴らしかった」と声をかけてくれるSpringboksやイングランドのジャージーに身を包んだファンが後を断たなかったのは嬉しいサプライズでした。また、キックオフの前に目の前で写真を撮らせてもらったセキュリティ担当のおじいちゃんが、目を細めながら「いい試合だったねぇ。特にどちらを応援しようと思ってたわけじゃないんだけど、もうホントにドキドキしちゃったよー。」とにこやかに話しかけてくれたりもしました。
特にジーンときたのは、アタシがラグビーに出会うきっかけをくれた南アフリカ人の元ラガーマンのお友達からのメッセージ。
「日本代表のプレーは本当に素晴らしかった。日本代表に心から敬意を払う、そして僕の母国南アフリカがこんな素晴らしいチームと対戦したことを誇りに思う。」
「(世界ランク3位の南アフリカを破った)日本代表は世界ランク2位も同然。Springboksの出来は悪くなかった、でも日本代表が素晴らしすぎた。そう自分に言い聞かせないと僕は眠れない。」
負け惜しみじゃなく、本心で言ってくれた言葉だと思うのです。でも、アタシが彼の立場だったら、多分こんなこと言えないんじゃないかと…。
そう、スポーツマンシップって、選手に限らずファンも同じように身につけていないといけないものなんですよね。試合中に野次を飛ばしたり、選手やレフリーに罵声を浴びせる心無いファンがいるのは万国共通。でも個人的には、そういうファンの振る舞いによって不快な思いをするのは、日本国内の試合の方が確率が高いように思います。
また、ワールドカップを含め、海外のテストマッチではスタジアムが全席指定席となるのが一般的。「日本代表を応援したい人たちは、○○エリアの自由席に集合してください!」なんてことができるのは、おそらく日本だけの超ローカルルールだと思います。アタシが仲良くしているロンドンオフィスの同僚のイングランド人の奥様はオーストラリア人。トゥイッケナムで両国同士のテストマッチがあると、いつもそれぞれのジャージーを着て仲良くスタジアムに向かうそうです。対戦国同士のジャージーを着ているカップルやグループを見かけることは、海外では全く珍しいことではないんですよね。
次回の自国開催のワールドカップまでに、アタシ達の観戦スタイルは世界標準に近づいていけるでしょうか? それとも観戦スタイルも「Japan Way」???
2015年9月23日水曜日
2万9千人のラグビーファンの観戦マナーに感動 in ブライトン。
2015年9月11日金曜日
トゥイッケナムのメンバー専用ラウンジでバースデーパーティー!?
スタジアムツアーに参加すると、一般人は入ることができないエリアも見学することができます。Counsel Roomもその一つ。このお部屋には、RFUの歴代のえらーい方々の写真が飾られているのが特徴なんですが昨年11月に訪ねたときは、インテリアがすっかり変わっていて、とてもびっくりしました。なんか、お洒落なホテルのロビーみたいじゃないですか???ここ、リノベーションする前はどんな感じだったかと言いますと…。じゃーん。以前は、本当にイギリスらしい重厚感たっぷりのインテリアだったんです。デザインとしては、今の方が好みではあるんですけどただ、至るところにRFUらしさが感じられる以前のインテリアの方がアタシは好きだったんですよね、実は。だって、絨毯にラグビーボールですよ。テーブルやソファー、全てに薔薇の紋章も入ってましたし。ただし、メンバー専用ラウンジについては、リノベーション後の方が絶対イイ!アタシが訪ねたときは、ちょうど全ての工事が完成したばかりということで、ガイドさん曰く、新しいメンバー専用ラウンジに足を踏み入れたファンはこの日のツアーの参加者が初ですよ~、とのことでした。ラッキー!このエリアのインテリアもかなり先鋭的な印象。でもそこに歴史に残る数々の選手のモノクロ写真をうまく融合させてしまうのが心憎い演出です。照明の影響もあると思うんですが、テーマカラーはパープルなんでしょうかね???それでは、このメンバー専用ラウンジもビフォア・アフターを比べてみたいと思います。うーん、うーん、うーん、ダメじゃないけど、でも…って感じですよね…。2012年のツアーに参加した時は、ちょうど前日に誰かの60歳のバースデーパーティーが開かれていたよう。著名な選手やプレミアシップの関係者でない一般人でもスケジュールさえ合えば、こういうパーティー、開けるんですって。(もちろん、諸条件はいろいろあると思いますけどね…。)トゥィッケナムスタジアムでバースデーパーティーなんてラグビーファンとしては一回くらい経験してみたいかも…。
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2015年9月9日水曜日
「日本は送料無料対象外です」 by W杯公式オンラインショップ
先日、ワールドカップの公式オンラインショップから
「全世界送料無料キャンペーン中!」というメールが届いたので
ちょうどいい機会だと思い、海外に住むお友達へのプレゼントをオーダーしました。
その後、自分用に買い物をしようとしたところ
何をやっても送料が計算されてしまうではありませんか。
ウェブサイトの送料に関する注意書きをよく見たら
「配送方法のオプションは国によって異なりますので、詳しくはカスタマーサポートまでお問い合わせください。」
との一文があったので、メールで問い合わせたところ
「日本は送料無料キャンペーン対象の配送方法が適用対象外の国となっております。大変申し訳ありません。」
とのお返事をいただきました。
どういうことかといいますと…。
国によっては、配送方法がDHLや郵便小包扱いなど複数のものから選べるようになっていて、
そのうち「郵便小包 - 補償無し&追跡機能無し」が送料無料対象なのだそうです。
日本は、配送方法がDHLしか選べず、こちらは送料無料にならないそう。
配送先が日本の場合、オンラインショップで買い物をするとVAT(付加価値税)が免除されるので
会計時に表示の値段から20%オフになります。
送料を足しても、元の値段よりも安ければお得かな、と。
現地で購入、帰国時に空港で免税手続きをすると、手数料がかかるので結果的に返金されるのは10%くらい。
ヒースロー空港の場合、第二ターミナルと第四ターミナルの免税店のフロアに実店舗があるようですが
どれくらいの品揃えなのかは見当がつきません。
荷物が増えるのが面倒なことを考えると、お友達同士でまとめてオンラインショップで購入して送料を折半すれば
結果的に定価の10%オフくらいになり空港で免税手続きをするのと変わらない感じなので
割れ物やかさばるものはネットオーダーしてしまおうかと考えています。
ちなみに、カスタマーサポートからの返信に「大変申し訳ありません。」の一言を見た瞬間、
ちょっと、いやかなり高感度アップ。
なかなか無いんですよね、英語圏でこちらが怒っているわけでもないのに
「Very sorry for this.」ってカスタマーサポートの人がコメントしてくるのって。
2015年9月8日火曜日
トゥイッケナムスタジアムのジムに初潜入。
昨年11月に参加したトゥイッケナムスタジアムのスタジアム見学ツアーでは、それまでに一度も足を踏み入れたことがなかったエリアに案内してもらうことができました。このツアーで特に人気のあるエリアの一つはドレッシングルームだと思うんです。案内板の表示は前年と変わってなかったんですが、壁の写真は変わっていました。えっと、イングランド代表のドレッシングルームは右へ進むんですね。お邪魔しまーす。ドレッシングルームは2013年11月にリニューアル。それはそれはモダンでクールなデザインのドレッシングルームへと生まれ変わりました。新しいデザインになったドレッシングルームに入ったのは今回が二度目だったんですが前回は偶然にもディナーパーティーの直前で、こんな↓レストラン仕様になっていたんです。本来のドレッシングルームらしい雰囲気をようやく味わうことができました。このエアロバイク、アタシが乗ったら足がペダルに届かなそう…。気になるホワイトボード発見。うーん、BAMFってなんだろう???でも、こういうのを見ると「あー、ホントに選手たちがここにいたんだなー。」っていう気分になりますよね。つい、イニシャルが誰のことなのかと考えてしまったり。こちらは、イングランド代表としてキャップを獲得した選手の名前が年代別に表示されています。こちらが昨年11月時点での最後の名前。今は、この下にSam Burgessの名前があるはずです。それ以外だと、うーん、誰の名前が入ってるかなー?シャワールームやお風呂は昨年と一緒。ただ、今回は、ガイドさんがその奥へと進み大きなドアを開けてくれたんです。思わず「うわーっ」と声を出してしまったこの光景、はい、ジムです。一番最初と二枚目の写真をよーく見比べるとこの時点では「Twickenham Gym」と呼ばれていたのに対し、2013年の時点では「Fitness Centre」。「Twickenham Gym」の方がカッコ良く聞こえますね。それに、イングランド代表のドレッシングルームとジムは入口の案内が逆なのに実はつながっていたんです。試合当日は、ここでイングランド代表の選手がウォーミングアップを行うんだそう。ただし、それ以外の日はトゥイッケナムスタジアムで働くスタッフさんも使うことができるんだそうです。ガイドのおじいちゃんも「僕もたまに来るよ。」とのこと。用具まで白×赤で統一しているこだわりようって凄いなー。壁一面の数々の写真やイングランド代表の赤いバラのエンブレムを見ながらのトレーニングって選手の皆さんはなお一層気合いが入るんでしょうね。明日は、2013年からすっかり様変わりしたラウンジの様子をお伝えします。(続く。)
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All Blacks以外 - England
2015年9月6日日曜日
今年もまた行きたい、トゥイッケナムのスタジアム見学ツアー。
18日のワールドカップ開幕までいよいよ2週間を切りました。ブログに書きたいと思いつつ、なんと10ヶ月近くたってしまったんですが頑張って開幕までに書きたいと思っているのが昨年11月に参加したロンドンのトゥイッケナムスタジアムの見学ツアーとリニューアルしたラグビー博物館のこと。2010年2月、そして2012年からは3年連続でこのスタジアム見学ツアーに参加しているんですが今回のワールドカップに向け、毎年いろんな場所がリノベーションされて毎回参加する度にまるで別のスタジアムに来たかのように思えるほど。前回のワールドカップのメインスタジアムだったニュージーランド・オークランドのイーデンパークは大会期間中はスタジアム見学ツアーが実施されませんでした。でも、トゥイッケナムは大会期間中もスタジアム見学ツアーが実施されるので (詳細こちら☆)現地滞在中に参加して、去年からどこが変わったのかを見てこようと思っています。ちなみに、過去に参加した時の様子はこちらを。2012年人生二度目のTwickenham Stadium見学ツアー。(前篇)
人生二度目のTwickenham Stadium見学ツアー。(中篇)
人生二度目のTwickenham Stadium見学ツアー。(後篇)
2013年アタシ自身の次回ツアー参加への予習&復習も兼ねて、昨年参加した時のツアーの様子を明日からブログに書いていきたいと思います。
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2015年9月5日土曜日
Nehe Milner-Skudderの日本での活躍を振り返る。
先月末に発表されたAll Blacksのスコッド。大きな話題の一つは、Super Rugbyでの活躍が認められて今年All Blacksに初選出、初キャップとなった対Wallabies戦でいきなり2トライをあげ、Cory JaneやIzzy Daggを押しのけ、ワールドカップ出場が決まったNehe Milner-Skudderでしょうか。2014年にはMaori All Blacksのメンバーとして来日したんですけど実はアタシ、ほとんど記憶がないんです。。。神戸と東京の両方の試合をスタジアム観戦したので、アルバムをもう一度見直してみました。11月1日、第一戦の神戸。うーん、この円陣の中にいるのかどうか、分からないですね…。あ、いた!でもこの写真で見つけられた方は、多分、視力は3.0。 笑右から5番目にいるんですけど、分かりますかねぇ…。あぁ他の選手と重なってしまって、アタシの席からだと顔がちょっと見えるだけでした。むむむむむ。アタシは、セブンズで過去に来日した選手やトップリーグでプレーした事のある選手にばかり気を取られていた模様。試合の写真をくまなくチェックしたんですけど、なんと彼が写っている写真が一枚も無い…。試合結果を調べてみたら、後半14分からの出場でした。(こちら☆)11月8日、第二戦の東京・秩父宮。ちゃんと見つけました~。Hakaは、あ、神戸の時とは違う位置に!(右から3番目)All BlacksのHPに掲載されているプロフィールを見たところ(こちら☆)Maori All Blacksとして来日した時点では、Super Rugbyの出場経験は無し。元々はラグビーリーグの選手で、10代の途中でラグビーユニオンに転向したんだそう。2015年にHurricanesでSuper Rugby初出場、そしてその数カ月後にはAll Blacksで鮮烈デビュー。まさに「彗星の如く現れたシンデレラボーイ」。この試合では、フルバックで先発出場。(こちら☆)前半22分にはMaori All Blacksにとってこの試合で2本目となるトライを決めました。でも、秩父宮でこの選手がこの試合から1年と経たないうちにAll Blacksに選出されると予想した人はすごーく少なかったんじゃないかと…。ちなみに、ご親戚にはAll Blacksキャップ保持者が二人いるんだそう。はぁ、もっとちゃんと見ておくべきでした…。お辞儀はあんまり上手じゃないみたい???今度のワールドカップでは、よーーーーーっく見てきますっ。
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