2012年5月23日水曜日

Tamati Ellisonは日本でハッピーじゃなかった?

南阿弗利加代表として、ワールドカップの優勝経験のあるFourie Du PreezやJaque Fourie、同じく濠太剌利代表としてワールドカップでの優勝に加え、テストキャップが三ケタのGeorge Smithや元All BlacksのMils Muliaina、現役All BlacksのMa'a Nonuに英蘭代表のJames Haskell。2011年/12年にトップリーグにやってきた、世界の中でも超一流と呼ばれる選手の名前を挙げ始めればキリがありません。

数年前までは、「(世界最高峰レベルのクラブリーグで頑張るのはもう無理だけど)、現役引退後の貯蓄のために、試合数が少ない割に高額年俸の日本で満身創痍で最後の一稼ぎ」などと揶揄されることが多かったトップリーグ。

海外ラグビーがメインのまーこ。にとっては、ブラウン管を通じて(←表現ふるっ)、もしくはお金と時間をかけて現地まで足を運ぶしか、そのプレーを見る方法がなかった現役バリバリの代表クラスの選手を1,500円ポッキリで見られるようになったことは、ただただ「嬉しい」の一言。

と同時に、ずーっと心に引っかかっていたことがあるのも事実です。

「一度シーズンが始まれば、海外遠征と合宿の繰り返しでほとんど家に帰れない代表選手としての生活はもう終わり(もしくは一時休止)。家族との時間を大切にしたい。」とか「異文化での生活を経験してみたかった。」というコメントは理解できます。

「日本では僕は全然有名人じゃないから、街中を歩いていても声をかけられることもないし、自由気ままに振る舞えて楽しいよ。」というコメントも、ラグビー人気の高い母国で、常にマスコミとファンからの視線を意識した生活を強いられていたであろう一流選手ならではのものでしょう。

でも、ですよ。

テレビや雑誌、新聞のインタビューや、選手自身のブログやコラム等で、皆さんトップリーグや日本人選手のレベルの高さを褒めてくれますよね。

「来日する前は楽勝だろうと周囲に言われて来たけど、全然そんなことはなくて、練習熱心で上手い選手が多くてビックリした。」とか「とにかくそのスピードに慣れるのに予想外に苦労した。」などなど。

ルールもろくに知らないアタシがこんなことを書いたら、ずっと国内ラグビーを見ているファンの方々からお叱りを受けるであろうとは思うのですが。

そこまで絶賛されるほど日本のレベルって高いものなの???

一人くらい「いやぁ、やっぱり日本はまだまだだね、IRBランキングでトップ10に入るにはまだ5年、いや10年はかかるでしょ。」くらい辛辣なコメントをする選手がいてもいいんじゃないの???

と、思うのはやっぱりヘンですかね?

それとも、そういうことを一切口外しないのが、これまた超一流選手の証し???

なーんて思っていた時に目にしたちょっとショッキングな報道記事。(前置きが長すぎてスイマセン。)

(stuff.co.nz 2012/05/22)

「Tamati Ellison、Hosea Gearの日本行きに警鐘を鳴らす。」というタイトルからして怪しい雲行き。

「彼(=Hosea Gear)の今後のプランは知らないけれど、まだ極めて若いよね。お兄さんが日本にいるから、今後のことについていろいろと相談するだろう。だけど、日本ってどんな?って僕にも聞いてきたよ。
日本は誰にでも良い環境というわけではない、特に前途有望な選手にとってはね。試合をすることに情熱を注いできた人間が、それ以外の理由のためにラグビーをするのは本当に大変で、自分ももがき苦しんだ。(これまで夢中になってきた)ラグビーという仕事に行かないといけないのに、ベッドから起き上がれないなんて、初めての経験だった。日本のラグビー界について中傷したくはないけれど、行くとしたら今か、もしくは絶対に行かない、の二択しかないと思ったんだ。」
って、ショックだなぁ…。

Despite the good pay, Ellison's enthusiasm for the inferior game had waned. (高額の給料にもかかわらず、レベルの低い試合に対する意気込みは徐々になくなっていった。)

と、ここまでハッキリ書かれてしまうと、うーん、黒羊組を応援して理由の一つがTamati Ellisonがいたから、という身としては切ないです。記者さん、もうちょっと言葉を選んでくださってもよかったんじゃ…。

日本でプレーすることを選んだ理由や、結果的に苦しむこととなった要因、そしてまた母国へ戻ろうと決心させた決定的な理由などは、本人や近親者のみが知ることなのでしょう。(いろんなことが報道記事などで書かれているのは目にしますけどね。)

きっと、毎日毎日、朝から晩まで悪いことばかりじゃなかったと思うのですよ。それに、アタシ自分がこれまでいろいろな事情で転職を何度か経験してきたように、誰でも合う環境、合わない環境がありますし、経験してみて初めて「あ、失敗した、選択を間違えた」ってわかることだって沢山ありますものね。

アタシの友人で日本で生活したことがあったり、長期滞在をしたことがある外国人は、「日本大好き派」か「日本大嫌い派」にハッキリわかれますね。「旅行で来るなら日本は世界一魅力的、仕事で来るなら日本人は世界一一緒に仕事をしたくない人種」と明言した人も一人や二人じゃなかったなぁ…。

先日、Super Rugbyで100試合出場を達成したRebelsのMark Gerrardは、コラムインタビューで「日本で過ごした2年は本当に素晴らしい経験だったし、行ってよかった。日本人のチームメイトと共にプレーしたことや、彼らが楽しんでラグビーをしている姿を見て、自分自身のラグビーへの熱い思いを改めて感じることができた。高層ビルと工場と幹線道路に挟まれたグラウンドでプレーしたり、観客が50人~100人くらいしかいないゲームも新鮮だったしね。家族も日本での生活に馴染んで楽しく過ごしていたから、もう一度でSuper Rugbyで頑張りたいという僕の希望で濠太剌利に戻るってことになったとき、また荷物をまとめて、別の国で家探しをするのは家族にとって一大事だったよ。」と繰り返し言ってくれていますから、これはきっと本心なのでしょう。

これから先、Tamati Ellisonが長い人生を過ごしたあとで「ま、いろいろあったけど、日本も悪いことばかりじゃなかったな。」と思ってくれる日が来てくれることを願ってやまないまーこ。です。

彼のSuper Rugbyでの活躍ぶりや、All Blacksへの再召集を心から喜んでいるファン、日本にもたくさんいますものね。これからも応援していきます。






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6 件のコメント:

DarkRum さんのコメント...

そうなんだ…
正直、SRに戻ってからの彼のプレーぶりを見てびっくりしたのは確かです(笑)
こんなにパワフルな選手だったっけ?って。
昨シーズンはリコーの試合をたくさんみる機会ありましたが、タマティ選手はどんどん存在感なくなっていったような印象でした。試合終わった後に声かけても同僚に促されて手を振る感じ。ちょっと気になっていました。
チーム事情もありますが、後半はずっとFBやってたし。
第一線で活躍している選手はみな口をそろえて、日本のラグビーのレベルや環境を絶賛してくれるけど、みんなそうなの?と天邪鬼な私は思っていたことも確か(笑)
だからちょっと安心しました(^^ゞ
言葉が通じないことも大きいのかな?
日本の生活を割り切って楽しめられればハッピーなのかもしれないけど、不器用な人は難しいかも知れません。

でも日本での経験をばねにして、代表スコッドに選ばれたのだから(そうですよね?)すばらしいと思います。
Mジェラードが日本での生活を楽しんでまたワラビーズ復帰の気持ちが沸いてきたのと同じように。
これからもタマちゃんを応援していきます!

bowpa さんのコメント...

こんばんは。
Tamatiの意見はほとんどの選手が思ってる
でしょう。ただプレーする前の選手自身の
想像よりはレベルが上という認識ではない
でしょうか。
実際バリバリの選手が来るリーグじゃない
ですからね。
Tamatiのプレーが日本で見られただけ幸せ
ですね。
もっと日本人選手に頑張って貰って魅力
あるリーグにして欲しいですね。

まーこ。 さんのコメント...

DarkRumさん、Tamati Ellisonはトップリーグのシーズン後半は元気なかったですか?元々それほど口数が多いタイプではないように思うのですけどね。

あー、やっぱり「そんなに日本のラグビーのレベルや環境って優れているの?」と疑問に思っていた人はアタシだけじゃなかったのですね。一安心。

Mark Gerrardも日本に来た時は、もうSuper Rugbyや同等のレベルのチームでプレーすることはないだろうって思っていたそうですよね。でも結果的に、日本に来る前と同じスキルレベル、もしくはそれ以上になっていることが証明されているわけでTamati Ellisonも同じだと思います。だから「日本に行って、より逞しく上手くなって母国に帰ってきた選手」としてどんどん目立ってほしいです。All Blacksにも定着してくれるといいなぁ。

まーこ。 さんのコメント...

bowpaさん、あ、なるほど。
「来日する前に思ってたよりかは、実際にはレベルが高かった。」ってことなら辻褄があうかも。

「日本のラグビーってさ、自分の出身大学は応援するんだけど、それ以外はねー。社会人?全然見ない。」なんて今日もぼそっと言われて悲しい気分のアタシであります。アタシの母校はそんなに強くないもので…。(代表になってるOBはいますけど)

DarkRum さんのコメント...

この後の記事読みました。
辛いことがあったのは確かだろうけど、前向きに捕らえてくれてるみたいでよかったですね。

リコーはタマティ選手を始めとした第1級の外国人選手が入って本当に素敵なチームになったと思いますもん。日本人選手一人一人がスキルアップしたと思う。
だから、記事が一人歩きしちゃってるけど、決してリコーというチームがいやだったという訳ではないと思ってました。

日本のレベルが高くてほんとにびっくりしたのは、サントリーに来た南ア人2人だけだと思いますよ(笑)
今回のWCのデュプレアは幻滅そのものだったし、日本へ来たのは代表引退を決めてたからと聞きました。
でもサントリーで鍛えられて?全盛期の輝きを取り戻しちゃったし、一方でロッソーはついていけてないし…
(南アのラグビースタイルが違うということもあるだろけど)

来日理由は、ラグビーシーズンの違いとか、報酬とかいろいろあると思いますが、できればこれからも現役バリバリの選手が来日してくれて、もっともっと日本人選手がスキルアップして、TLが面白くなればいいなあ~と思います。
(私も大学ラグビーとは無縁な人間なので(^^ゞ)

まーこ。 さんのコメント...

DarkRumさん、アタシもとても心配してました、リコーのファンや関係者の方は、今回の報道をどういう気持ちで聞いたんだろう…と。このstuff.co.nzの記事、とにかくいろんなところに出てるんですよね。なのに3newsの記事は、3newsのウェブサイトにしか出てないんです…。逆ならよかったのになぁ。

DarkRumさんはBoksのサポーターなんですよね。2011年は彼ら以外にJaque Fourieも来日しましたね。彼は日本のラグビー、どう思ったんだろう???

私も、結果的に日本のラグビーのレベルがもっと上がって&海外のスター級の選手が生で見れたらホントに嬉しいです。